「君の名は。」の感想です。今作で感じた猛烈な違和感……それは。
「シンゴジラ」を超える勢いの動員数になった映画「君の名は。」筆者は正直「そこまでの作品だろうか……」と思ってしまったのですが、大多数の方にっては好評みたいで何より。どうでもいいけど新海誠って名前かっこいいなぁ。
当ブログでも感想を書きましたが、どうにも言語化が難しく、消化不良感が否めないでいました。今回二度目の感想を書こうと思ったきっかけは、先日友人と新海誠さんの作品について話していて、その中で「あぁ、私が『君の名は。』をつまらないと感じた理由はこういうことだったのか」と腑に落ちる言語化ができたから。
先に書いた感想よりも具体的に書けていますが、それ以上にエッジの効いた(過激な)言葉で表現しているので気分を悪くされる方がいるかもしれません。文章を読んでて不快になられた方はすみません。
じゃあ何故書くの?って話ですが、理由は簡単で共感してもらえる人もいると思うから。(友人は「言われてみるとね〜」と言ってた)
予防線を大量に貼ったところで書いていきます。
違和感の正体:ストーリー、演出から感じる童貞臭さ【感想】
童貞というか、”イキった高校生”感??
筆者が「君の名は。」に感情移入できなかった理由は作品全体から感じる”童貞感”。なんというか、見てる内に”ぼくがかんがえたさいこうのれんあいすとーりー”のようにしか思えなくなっていました。
鑑賞時はそこまで深く考えていなかったのですが、数日たって考えてみるとこの考えが一番自分の中で腑に落ちたので、感じていた違和感の正体は恐らくこれだと思ってます。
別に童貞感があってもええやんけ!フィクションに何を求めとるんや!というような声もわかります。確かに、この作品が架空の世界で展開される完璧な虚構の物語であればそれはすんなり受け入れられます。
しかし、先の感想記事で書いたように、この作品に関してはフィクション(SF)と現実感(舞台は実在の世界)が混在、非常に曖昧で、どのような距離感で接すればいいのか分からないというところがあります。
そこに醸し出る童貞感がストーリーへの没入感を下げ、より距離を生じさせてしまったように思うのです。”おいおいそれはうまく行き過ぎやろ…”という具合に。
あ、これ私が少女マンガを読んでイラついちゃう理由と一緒だ…。少女マンガは現実が舞台なくせにうまくいきすぎだし演出が大袈裟すぎる。「君に届け」しか読んだことないけどこれ読んで”少女マンガはムリだ”と確信した高校生時代でした。
童貞っぽさを感じた要因
ではどのような要素から童貞っぽさを感じたのか。箇条書きで振り返ります。
主人公が高校生問題
”ふつうの高校生が些細なトラブルに巻き込まれて、どんどんスケールアップして何か大きなものを救出する”という設定。これ我々が思春期にしてた妄想とまるっきり変わらなくないですか??
無敵だったあの頃のぼくらの妄想をそのままスクリーンに投影されても現実に冷めてしまった大人には響きません。あれぼくまだ22歳なんだけど(執筆当時)。
入れ替わったあとのやり取り問題
時代のズレが判明した後は仕方ないけど、それ以前になぜ直接のコンタクトを図るなり、電話をするなりしないのか。電話でさえ瀧くんが糸守町に行く前に一度しただけって。。
文通だけのやりとりもロマンチックでいいかもしれないが、なぜ身元が確認できたあとにそんな効率の悪いやり方でやり取りするの???ロマンチストなの?それかアレか?入れ替わりが始まってすぐに恋に落ちてて距離感楽しんでた?一万年と二千年前から愛し合ってたの??
ベタ過ぎる演出
瀧くんの気持ちはわかる。大いにわかる。恐らく筆者が同じ境遇であれば”揉む”だろう。なんならスマホで写真におさめて自分しか見られないクラウドストレージに移動させて本体に戻ったあとも楽しむだろう。しかし……それをいちいちシーンにする必要があったのだろうか…。
気持ちは本当にわかるのだけど、それを何度も写して笑いを取る必要があったのでしょうか。あんなのわかる人にとっては”次もくるんだろうなぁ…あ、きた”くらいにしか思えません。”揉む”という当然の発想を繰り返し移すところに童貞臭さを感じてしまいました。
都合良すぎ問題
少女マンガか!!ってくらいに都合がいい。入れ替わりが判明して両者があれこれと手探りで生活するシーン。周りの人は何故気づかない!?
あれだけ豹変してしまったら何かしらの異変を察知してもおかしくないのに、友人の一人は胸キュンするし、ステレオタイプの塊の”憧れの女先輩”は評価をいい方向に改めだすし、一方はレズ需要が強烈に高まりだす…いいことあり過ぎィ!!
入れ替わりに気づかないまでは許容できるけど、いくらなんでも全てがいい方向に回っちゃうのはご都合主義すぎて”りそうのすとーりー”感しか感じさせません。
あま〜〜〜〜ぁぁぁい問題
手のひらに”すきだ”。あま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぁぁぁぁぁぁぁぁい!!←名前書こうって言ったよね??
明示はしていないけど、実は壮大でしっかり作りこまれた設定問題
糸守は1200年毎に彗星が落下してくる不思議な土地
宮水一族は女しか生まれない一族で入れ替わりの能力を使って婿を得て巫女の血を絶やさないようにしてる
宮水一族は1200年毎に降り注ぐ彗星から人々を守る為に存在してる
だから彗星のことを予知出来るように自分と時間軸のズレた人間と入れ替わるようになっている
この設定分かってない奴多すぎ
【ネタバレ感想】君の名は。の設定理解してない奴多すぎね?:MAG速
まとめサイトからの引用ですが。
次のレスの”そんなん説明されてないしわかるわけない”が全てを言い表していますね笑
細かく注視してみれば上記の設定も理解できるように作られているみたいですが、、、一回観ただけでここまで分かる人は探偵の素質がありそうです。
”いろいろとファンタジーっぽいけど、実はちゃんと裏付けがあるんやで!!”という新海誠さんのドヤ顔が浮かびますが、感動モノで考察の余地を残す必要あるんでしょうか。わかりやすくしたほうが感情移入しやすいと思うのですが自分だけですかね。
というか、、、
- 糸守は1200年毎に彗星が落下してくる不思議な土地←わかる
- 宮水一族は女しか生まれない一族で入れ替わりの能力を使って婿を得て巫女の血を絶やさないようにしてる←まぁわかる
- 宮水一族は1200年毎に降り注ぐ彗星から人々を守る為に存在してる←お、おう…?
- だから彗星のことを予知出来るように自分と時間軸のズレた人間と入れ替わるようになっている←救出法遠回りすぎィ!!
なんかもっとこう、、書物にするなりすればいいのでは。。1200年に一度じゃ忘れちゃうか…?しかし効率が悪い方法だなぁ、、という印象が拭えません。普通の高校生だと思ったらビックリ設定でビックリ。NARUTOか。瀧くんはロック・リーか。
↑書物は火事で燃えてしまったというコメントを多数頂いて思い返したらそうでした。失礼しました。
まとめ
こんなところでしょうか。ダメ出しばかりになってしまいました。「最後は良いところも言ってくれるんでしょう?」という期待でここまで耐えて読み進めて頂いた方には大変申し訳ありませんが、終わりです(良いところは一つ目の感想記事で書いたので)。
まとめると感動できなかった理由は、距離感を感じてしまったから。その距離感を一番強く感じさせたのはストーリーや演出から感じる”童貞っぽさ”からです。男女の関係にまだ夢を持っている人が作った理想のストーリー感が半端無くて距離感を感じてしまったということです。私の苦手な少女マンガぽかった。
秒速5センチメートルも乗りきれなかった自分ですが、恐らくその理由も要素は違えど、作品から感じる童貞っぽさが原因だったのもしれない…と思っています。
筆者は一度このような違和感をもってしまったことで、細かい部分で気になってしまうところが出てきてしまいその結果物語に没入できなくなってしまう…という悲しいスパイラルに巻き込まれてしまいましたが、大多数の人は細かいことは気にせず楽しく感動できる作品だと思います。
最初から”この作品は批判的に見ていくでぇ〜〜(でもどうせ泣かせてくれるんでしょ)”という表の声とは裏腹に相当高めな期待値で観たのが裏目に出てしまったのでしょうか。後出しじゃんけんでダメ出しばかりになってしまいましたが、共感してくれる人がいるといいな…。
新作「天気の子」の感想はこちら。「君の名は。」の10倍は楽しめました。
【ネタバレあり】「天気の子」感想|愛が歌われ尽くした世界で描かれた、現代人への応援歌
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コメント
楽しく読ませていただきました!とても共感しました。
私は40代ですが、前回のTV放送でこの映画を期待を込めて観てしまったのでガッカリ感が大きかったです。なぜなら、動員数や興行収入、何度も見に行く人・・の話を聞いて勝手に期待してしまったからです。正直、宮崎駿世代にはチープすぎて響かないですね。
風景以外の量産型の絵も拒絶反応、考えさせられる深いテーマも無く・・薄っぺらいという言葉はドンピシャだと思います。
もちろん我々大人世代とは違う若い子が「きゅん」とする面もあるのかもしれませんが。
それでも「黄昏時」の使い方の上手さ、美しさはありますが新海さんも宮崎駿チルドレンなのでしょうね。隕石の描き方など随所に影響を感じます。
それにしても日本アニメの絵柄はもっと改善されないものでしょうかね〜。
私も「君の名は。」、ペラ過ぎて駄目でした。
何か、小説や漫画を書き始めたばかりの人が、自分の書きたいシーンだけ都合よく寄せ集めた感が酷くて…。言葉は悪いけど、自慰に付き合わされたような気分です。
恋心が育っていくシーンや、肝心の村長説得シーンはほぼなく、RADWIMPSがお送りしますなダイジェスト。
むしろ、本編自体が2時間に及ぶダイジェストみたいにしか見えず、「で、本編いつ始まるん?」って感想です。
画像クオリティは異常に高く、話の概要も真新しくはないものの悪くないだけに、残念でした。
とは言え、ツイッターとかで欲しい情報だけつまみ食いする世代には気持ちいい視聴感なのかもですね。
音楽で言えば、サビの寄せ集めとも言える「ももクロ」あたりと被る方向性なのかな、と思いました。
“恋心が育っていくシーンや、肝心の村長説得シーンはほぼなく”
恋心が育つシーンは満載だったと思うので別に書きましたが、村長説得シーンは本当に無かったんだと思います。
あの場に父とは仲の悪いはずのお婆ちゃんが来ていた。二人とも愛する人との入れ替わりを経験している。この時点で、何か感じる所が有って、真剣な話をしてたはず。そこに今度は、我が娘に戻った三葉がボロボロになりながら、あのこれまで見たことのない必死さで飛び込んでくる。
父は、もう何も聞かず、1秒で電話取って、
高校へ緊急避難、高校へ緊急避難、放送、最大ボリュームで連呼しろ、車に皆のせて、消防隊全員出動、、、
とかやるでしようね。
後で聞かれたら三葉を守るために、最初から抜き打ちの訓練を計画してたとか言うでしょうが。
これこそ童貞の中学生が書いた天邪鬼批評かと思ったら22超えてると書かれていて驚いた。今迄読んだどの批評よりも浅薄で子供じみている。
?? ありがちな煽りコメント
失礼します。
童貞臭いという以前に、自分は「どうして入れ替わりが確実だ、と互いが認識した時点で直接的な遣り取りを行わなかったのか」「少なくとも瀧は自分が飛ばされた場所がどこかを調べる時間もツールもあったはず」という点で躓き、全く集中できませんでした。虚構であっても日常生活の本当らしさがなければ観る側は入っていけません(入っていった人のほうがめちゃくちゃ多かったですけど)。
小説も出ているようで、こちらを読めば理解できたのかもしれませんが、映画として作っている以上は、映画の中で完結させて欲しいと思いました。
無駄な尺削ってそこをちゃんと描いて欲しかった…。勿体ない。
「どうして入れ替わりが確実だ、と互いが認識した時点で直接的な遣り取りを行わなかったのか」
当然したけど、つながらなかつたのではないでしょうか?3年前は瀧がスマホ持ってなかったり、3年後はみつはが死んでるので。
「少なくとも瀧は自分が飛ばされた場所がどこかを調べる時間もツールもあったはず」
時空を超えて二人の心を入れ替えられる神秘の力にとって、”夢”の間にそれをさせないくらいたやすいことだと思いますが、どうでしょうか。
私は他のところが不自然に思いましたが、私には理屈で説明できない良い所がはるかに上回ってしまったようです。
面白いんだろうけど、テレビでただでみれてよかった程度の感想。
万人ウケはしてるんだろうが、、、
わたし的には
最後の畳み掛け、、、ハッピーエンドに無理くりしている感がすごいある
畳み掛けすぎて、え?これで終わり??感あり。 最後がみじかすぎ
いままのでストーリーの長さに対してね。
あと秒速五センチメートルの切ない恋愛ストーリーもそうだが、、
まあまあ面白かったけど
総じて言えるのは、、、絵が綺麗で めっちゃ綺麗やろ?どや??感がすごすぎて
ストーリーやキャラがすごくチープ見えてしまうのは私だけなんだろうか??
特に 背景をロケで綺麗に描いてるのはわかるんだけどね。 それだけでストーリーあとづけ、、、みたいで こころにビビビビ!っとこないのはある
頑張っててすごくいいんだけどね、、
おお…共感しますよ…突っ込み所がありすぎる…評判倒れの駄作と思います
タイムスリップ、とりかえばや、巨大隕石落下…やり過ぎ
入れ替わった2人が恋に落ちた経緯が抜けてる…致命傷
「映像がきれい」「曲と合っていた」…尺の長いミュージック・ビデオ
評価ポイントは…皆が映画館へ行き「この世界の片隅に」を見る機会を作ったことくらいでは
突っ込みどころはたくさんありますね。
“入れ替わった2人が恋に落ちた経緯が抜けてる”については、三葉の悪口に対して怒る、自分のイメージを意外な方向に変え(むしろもてるなど)、そこそこイケメン、お婆ちゃんにやさしく、神事への敬意もある(あのお酒の奉納きちんと済ますなど)、三葉がいやだといいながら愛していた田舎暮らしを楽しんでるし、”カフェ”を作る側になったり、大切な親友たちとむしろ自分以上に楽しみ、愛してくれてる、そしてなにより、遠慮なく本音でズバズバ言い合える関係、って、ずっと恋に落ちますよってやってたように思いました。三葉が入った瀧の側も同様です。
自分の想像力の無さを監督や作品のせいにしないほうがいいですょ。
私は子育てもほぼ終わった大人ですが、とても楽しめました。
今週12時間の飛行機で見ました。最初前半は、面白いけど、グイグイ引き込まれることは無いなと思いましたが、いくつか疑問をいだきつつも、最後は幸せになれました。2回目随所で止めて確認しながら見て、なぜか2回目のほうがもっとハッピーになりました。その後ハリウッドの人気作を見、ここで普通なら寝るか次の映画に行くところですが、この作品に戻って、眠い目をこすりながら、到着まで行きつ戻りつ、何度も見返さずにはいられませんでした。こんなことは初めてです。
今日Wikipediaであらすしを読んだところ、なぜか映画を見たとき以上に、涙がこぼれてきてびっくりしました。
私が気になったのは、みつはが会いに行った時、瀧は中学生だったのに、変に思わなかったのかということと、高校生が防災無線乗っ取ったり、変電所爆破したりしないだろうと言うことですが、それもこの作品の一部であり、全体の感動からしたらささいなことに感じられます。
3年の違いに気づかないことについては、村を守るために何か神秘的な力で体の入れ替えが起こっているくらいだから、それに気付かないようになってても変には思いません。実際夢の中だと無茶苦茶な設定でも疑問に思わないまま行動しますよね。
因みに私は宮崎駿映画ではカリオストロの城の大ファンですが、その他の作品はそんなに面白いとは思えない人です。ディズニー映画は全然面白いと思えません。
君の名は。は、アメリカではあまり知られる事なく終わったようですが、見た人の評価は非常に高いです。
同じ作品を面白いと思う人思わない人、いろいろいていいと思います。私の場合を挙げさせていただきました。
>これ我々が思春期にしてた妄想とまるっきり変わらなくないですか??
この映画のファンは、この映画で妄想を形にして楽しむことができたから、だから好きなんだろう……。
逆に楽しめなのは、既に自分で脱童貞したから。
イラストでも小説でもブログでも何でもいいけど、自分の中の妄想を形にして吐き出して、充分に眺めて、痛い黒歴史として引き出しの奥にしまった人々がこの映画を見ると「いまさらそんなもん見せんなや!」となる。なった。
だから衝動や不満を形にできないで悶々としている10代がこの映画にハマるのは不思議とは思わないし、いい歳してもこんな映画に陶酔してるピュアな人達は生暖かい目で見てしまう。
いやまぁ個人の好みだから自由だし、人生楽しんでるなーと思うけどね……。でも借り物の気分で全能感に浸ってるのを見ると、宗教にハマってる人と同じ気持ち悪さを感じてしまう。
この人の方が、周りから気持ち悪がられてそう。。
あなたが、どう受け止めようと勝手ですけど、私は、君の名は。が本当に好きなのでこういうものを見ると、本当に嫌になります。不快です。
アンチなら、書かなくていいんじゃないですか?
私は、充分楽しみました。
この作品をどう思うかなんて、個人の自由なんですから。
この情報なんて、ただの一人の勝手な感想に過ぎないので。